特許と実用新案の違い

特許も実用新案も、製品やサービスに関するアイデアや技術を第三者の実施を阻止して独占実施できる権利です。ただし、実用新案の場合は「物品の形状、構造又は組合せに係るもの」という条件が付加されます。

項目特許実用新案
保護対象製品やサービスに関するアイデアや技術(物の発明と、方法の発明)物の形状や構造に関するアイデアや技術
登録要件【新規性】
世の中に同じものがないこと
【進歩性】
従来技術より優れていること、など
特許と同様(進歩性の要件は若干緩和)
保護期間出願から20年出願から10年
権利取得のための審査形式審査と新規性・進歩性などの実体審査形式審査のみ
弊社手数料の目安
(別途、特許庁に支払う金額がかかります)
弊所料金 約25万円(請求項1個、明細書7p、図面3個の場合)~弊所料金 約25万円(請求項1個、明細書7p、図面3個の場合)~

特許

特許とは

特許とは、製品やサービスに関するアイデアや技術を第三者の実施を阻止して独占実施できる権利です。特許庁の実体審査を経て登録されるため、強い保護を期待できます。 保護期間は、 出願から20年間 です。 製品やサービスに関するアイデアや技術が対象となり「物の発明」と「方法の発明」に大別されます。

特許
保護対象製品やサービスに関するアイデアや技術(物の発明と、方法の発明)
【物の発明の例】食品製造装置、魚介類の鮮度の判定プログラム、受発注を最適化するAIシステムなど
【方法の発明の例】海洋生物からの有効成分の抽出方法、認知症予防の訓練方法、装置の生産方法など
登録要件【新規性】世の中に同じものがないこと
【進歩性】従来技術より優れていること、など
保護期間出願から20年
権利取得の手続き【特許出願】明細書、特許請求の範囲、図面などの書面を特許庁に提出します。
【審査請求】所定の費用を支払って特許庁に審査請求を行い、新規性・進歩性などの実体審査を開始してもらいます。
【拒絶対応】実体審査では、関連する先行特許が提示され(拒絶理由通知)、それに対して補正書、意見書などで先行技術と異なることを主張します。
料金の目安(出願時弊所料金 約24万円(明細書7p、図面3個の場合)~
※内容や書類のボリュームに応じて変動します。
※別途、法定費用がかかります。
※補助金などの申請により低料金で出願できる場合もありますのでお気軽にご相談ください。

特許権を取得するまでの手続き

特許取得の流れ図(簡易版)
特許取得までの流れ(簡易版)

特許取得までの流れの詳細版はこちらをご参照ください。

Step 1. 出願
「明細書」「特許請求の範囲」「図面」などの書面を,郵送あるいは電子出願システムを通して特許庁に提出します。出願日から18か月が経過すると,「特許公開公報」として自動的に公開されます。この段階では審査開始になりません。

明細書
従来技術に対する優位性や優れた効果などを実施例とともに記載した書面です。特許請求の範囲の内容をカバーするように記載します。

特許請求の範囲
権利を取りたい内容を記載する書面です。特許権の権利書ともいえる位置づけになります。
Step 2. 審査請求
所定の費用を支払って特許庁に審査請求を行い,書面上の様式などを審査する方式審査および,新規性・進歩性などの実体審査を請求します。ここからが権利取得の手続きです。

拒絶対応
実体審査において,関連する先行特許が提示されることにより新規性や進歩性が否定されると,その旨が出願人に通知されます(拒絶理由通知)。この通知に対して,「否定という判断がなされた根拠」を崩す主張をするために,補正書、意見書を提出します。具体的には、拒絶理由通知内に記載された先行技術に対する新規性や進歩性の主張です。
※拒絶対応には、別途費用がかかります。
Step 3. 登録査定と支払い
晴れて実態審査を通過すると,「登録査定」が出願人に通知されます。権利を発生させるためには、特許(登録)査定(または審決)の謄本の送達があった日から30日以内に,特許料(登録料)を設定登録料として納付しなければなりません。納付する金額は,特許の内容によって異なります。

特許の権利化が済んだあとは、失効しないように年金を納める必要があります。

特許権を取得する5つのポイント

 苦労して製品を開発したり、新しいサービスを開始したりしても、特許を取得しないと、そのうち模倣されて競争力を失い、最後は価格競争に巻き込まれてしまいます。特許により貴社の強みを財産化すると共に、他社との違いを見える化して、顧客や取引先に伝えることができます。

その1 模倣防止・市場で独自のポジションを確立できること

 特許は公示されるので競業他社による模倣を防止するとともに、その機能は自社だけの機能になるので市場で独自のポジションを確立できます。

その2 価格競争に巻き込まれないこと

 後発の容易な参入を阻止して、コモデティ化(汎用品化)することを防ぎ、無用な価格競争に巻き込まれないようにすることができます。

その3 交渉を有利に進められること

 法的な効力を持つ特許権などを保有することにより、共同開発や受託開発、ライセンス契約などのアライアンスの場面、価格の決定の場面などで、交渉を有利に進めることができます。

その4 資金調達が有利になること

特許を取得することにより、様々な知財を活用した融資制度(例えば、知財ビジネス評価書)などを利用でき、資金調達を有利に進めることができます。

その5 ブランド価値向上・企業価値向上

特許を取得した独自技術であることを公的に証明できるのでブランド価値や企業価値を高めることに貢献します。
ひいては、その企業で働きたいという若い人の注目も集めることもできるので、採用面でも競業他社に対し有利に選考を進めることが期待できます。


実用新案

 実用新案は、物の形状や構造に関するアイデアや技術を、第三者の実施を阻止して独占実施できる権利です。実体審査を経ないで登録されるため、やや弱い面があります。保護期間は、 出願から10年間 です。

例:装置の形状や構造の特徴

登録要件

新規性
世の中に同じものがないこと
進歩性
従来技術より優れていること、など
※基本的に特許と同じですが、特許よりは条件が緩和されます。

権利取得の手続きと権利の執行方法

 明細書・図面・権利を主張する内容などの書面を特許庁に提出すると(実用新案登録出願)、新規性・進歩性などの実体審査を経ずに形式的な審査だけで登録になります。実体審査を経ずに登録される反面、差止や損害賠償請求、またはライセンス交渉の際には、特許庁に実用新案技術評価書の作成(42,000円+(請求項の数×1,000円)を依頼して肯定的な見解を得ておく必要があります。

実用新案技術評価書
特許庁の審査官が、考案の新規性や進歩性について調査をして、その結果をまとめた書類です。

実用新案の活用方法

日用品の保護
日用品の構造などを保護するものですので、個人の方の発明などを保護するために利用する場合が多い状況です。
安価に保護を図りたい場合に好適
特許と異なり、特許庁に審査請求(118,000円+請求項数×4,000円)をすることなく登録できるので、早期かつ安価に権利取得を図りたい場合に好適です。