商標とは

商標とは、商品の製造・販売、サービスの提供に際して使用する名称やマークを、第三者の使用を阻止して独占使用できる権利であり、一度登録されると5年もしくは10年単位で半永久的に更新でき、長い間に渡ってブランド価値の向上に貢献することが期待できます。

商標登録
保護対象商品・サービスの名称やマーク
例:文字列、図形、ロゴなど
登録要件【識別性】その商品やサービスとの関係で一般的な名称ではなく、自己と他人の商品やサービスとを区別できること
【類似性】他人の先行登録商標に類似していないこと、など
保護期間登録日から10年(何回でも更新可能)
権利取得の手続き【商標登録出願】マークと、どういう区分の商品やサービス(役務)で使用するかを記載した書面を特許庁に提出
【審査】一般的な名称ではない等の識別性、先行登録商標とは類似しないか等の実体審査を経て登録(審査請求はしなくても出願後、適宜審査してもらえます)
料金の目安(出願時)弊所料金 約4万円(1区分の場合)~
※区分数などのボリュームに応じて変動します。
※別途、法定費用がかかります。

用語集

区分
区分とは、全45種類からなる商標登録のカテゴリです。登録したい商標が商品だった場合は1~34類から、サービス(役務)の場合は35~45類から選択します。たとえば、29類は食肉、乳製品、食用魚介類(生きているものを除く)などが含まれますが、同じ魚介類でも「生きているもの」は31類になるなど細かく分類されています。
商品や役務の類似
自分が出願する商標が他人の商標権を侵害するかどうか、すなわち、出願する商標が登録されるかどうかは、商標が類似するかどうか、および、商品・サービスが類似するかどうかで判断されます。この類似の判断は、商品や役務の内容に応じて付与された類似群コードという分類記号に基づきます。同一区分内でも類似群コードが異なれば非類似と判断されます。区分が異なれば類似と判断されないケースが多くありますが、必ずしもそうとは言えません。たとえば,第18類の「愛玩動物用被服類」と第21類の「小鳥かご」、第28類の「愛玩動物用おもちゃ」はどれも同じ類似群コード「19B33」が付与されるので、類似と判断されます。

商標の効力範囲

商標の効力範囲はマークと区分の組合わせで決まる

「他人の商標権を侵害するかどうか」や「出願した商標が他人の登録商標との関係で登録されるかどうか」は、商標が類似するかどうかと、商品・サービスが類似するかどうかの両方で判断されます。
このため、マークが同一又は類似しているだけでは商標権を侵害しているとはいえず、指定商品役務も同一又は類似である必要があります。したがって、下記の「類否判断」にあるように、同じ商標(マーク)であっても区分が異なれば別々の権利として成立します。

類否判断

商品や役務が類似するかどうかは、商品や役務の内容に応じて付与された類似群コードという分類記号で判断されます。
同一区分内でも類似群コードが異なれば非類似と判断されます。
区分が異なれば類似しない場合が多いですが、必ずしもそうとは言えず、第18類の「愛玩動物用被服類」と第21類の「小鳥かご」、第28類の「愛玩動物用おもちゃ」はどれも同じ類似群コード「19B33」が付与され、別の区分でも相互に類似と判断されます。
この特徴を利用して、出願する区分数を減らして、費用を削減することも可能です。

指定商品役務が異なれば同じマークでも並行して登録される例

出願の手続きとポイント

出願手続き

特許法のような「出願審査請求制度」はありません。出願した内容は、特許庁での公開準備が済み次第、順次公開されます。「方式審査」と「実体審査」を経て、問題がなければそのまま登録査定となりますが、指摘事項がある場合は「拒絶理由通知」が送られてきます。その「拒絶理由通知」に対して、意見書・補正書を提出し、それが認められれば拒絶理由が解消したとして、登録査定となります。

登録査定となったあとは、所定の期間内に出願内容に応じた法定金額を納付することで、商標権を取得できます。

商標登録までの流れ
商標登録の手続き(簡易版)

商標登録までの流れの詳細版はこちらをご参照ください。

出願時のポイント

当事務所の出願方針にはこちらからどうぞ

マーク(文字列、図形等)の記載

商標登録出願では、マークと指定商品役務のセットで出願書類を作成します。 マークを記載する場合は、使用しているマークそれ自体を記載する場合もありますが、権利範囲をできるだけ広くするために、最も中心的な文字列や図形を抽出して出願する場合もあります。このあたりは、商標権侵害訴訟の実務知識など専門性が要求されるところですので、ぜひ弁理士などの専門家に依頼することをお勧めします。

区分や指定商品役務の記載

出願に当たっては、その商標を使用している又は使用を予定している商品・役務を区分ごとに指定する必要があります。 指定商品・役務の選び方を失敗しても、出願後に追加訂正をすることはできません。始めから出願をやり直す必要があります。

また、必要な指定商品・役務を指定できていないと、使用中の商標を保護することはもちろん、第三者に対する差止請求や損害賠償請求などの権利行使もできません。逆に第三者に先に商標登録を取得されてしまって、自社で使用をできなくなる可能性もあります。

商標権を取得する5つのメリット

その1 商品名を安心して使用できること

第三者が先に商標登録を取得すると、自社で従来使用してきた商品名を使えなくなる (他社から商品名を変更させられる )リスクを回避することができます。また、第三者が先に商標登録を取得して、高値で売りつけられるというリスクを回避することができます。

その2 模倣品の排除および自社商品の差別化ができること

競業他社による商品名やサービス名称の模倣を防止できます。また、巧みなネーミングによって商品を差別化することも可能です。

その3 ブランド価値向上(取引先からの信用や評価UP)

同じ商標を独占的に使い続けることにより、品質に対する信用やブランド価値を向上させることができます。また、知名度UPや売上UPにより、社員のモチベーションや士気向上も期待できます。

その4 交渉を有利に展開できること

 すでにある程度ブランド価値が向上している場合、商標権などの法的な裏付けがある権利を保有することにより、ライセンス契約などのアライアンスの場面や価格の決定の場面などで、交渉を有利に進めることができます。

その5 海外進出の準備として

日本国内で取得した商標は、マドプロ国際出願などの国際出願の基礎として活用でき、海外進出の準備も兼ねることができます。海外では、見本市に出品しただけで、商標ブローカーが先にその商標を登録して、その商標を使用している企業に高値で売りつける例も散見されています。まずは国内登録を成功させて、海外進出の一歩を踏み出しましょう。

当事務所のサポート内容

その1 事業内容に即した権利化

事業内容を確実にカバーした出願を行うのは、実はかなり経験やテクニックが必要になります。例えば、ソフトウェアの商品名について商標登録を取得したいと考えたとき、第9類「電子計算機用プログラム」を指定商品とすることが考えられます。しかし、これではクラウド型のソフトウェアサービスは保護されません。クラウド型のソフトウェアサービスを保護するためには、第42類「電子計算機用プログラムの提供」の指定役務を記載する必要があるのです。

あるいは、音楽業界のコンサルティングを行う会社が、会社名について商標登録を取得したいと考えたとき、第41類の「 技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」などを指定役務とすることが考えられます。しかし、これでは音楽業界のクライアントに対する業界特有の経営コンサルティング業務を保護することができません。経営コンサルティング業務を保護するためには、第35類「経営の診断又は経営に関する助言」の指定役務を記載する必要があるのです。また、音楽業界のコンサル事業のためには、第41類「出版物の制作に関する指導又は助言」といった指定役務の記載も必要となるでしょう。

当事務所では、お客様の多様な事業内容に即して、お客様のご要望や、現在の商品やサービスの内容、将来的な計画などを多面的に検討して、しっかりと指定商品役務の内容を策定していきます。

その2 審査基準や商品・役務名検索を駆使した指定商品役務の指定

指定商品役務の内容を策定に際しては、類似商品・役務審査基準(800ページもあります)に加え、お客様の現在の商品やサービスの内容、将来的な計画などからキーワードを抽出し、商品・役務名検索でキーワードに関する指定商品役務を洗い出したうえで、事業に必要とされる区分や指定商品役務を策定していきます。

また、ライバル企業の商標の指定商品役務も検討し、お客様の競争力強化を図れるように指定商品役務の策定の万全を図ります。

その3 ブランド価値の向上

商標登録出願をする前には、屋号や社名などのコーポレートブランド、個々の製品やサービスなどのプロダクトブランド、製品・サービス系列ごとのカテゴリーブランドのうち、現在使用している名称のどの部分を登録すれば効果的かを一緒に考えていきます。

また、商標登録を取得した後は、どのような使い方をすればブランド構築に効果的なのか、使い方のアドバイスも行います。商標をどの部分にどのように用いるか、お客様の事業内容をしっかりと把握したうえで、的確にアドバイスし、お客様の事業のブランド価値向上を図って参ります。

意匠とは

この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする

意匠法第1条

 意匠とは、物品のデザインを、第三者の実施を阻止して独占実施できる権利です。物品のより美しいデザイン、より使い心地のよいデザインを探求した結果として、新しく創作した意匠を創作者の財産として保護する一方、その利用も図ることを定めて、これにより意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与しようというものです。

!著作権の場合は原則として一品ものにしか保護が及ばないので、工業的に量産できる物品のデザインは意匠登録で保護することをお勧めいたします!

意匠
保護対象物品の形状・模様・色彩に関するデザイン
例:椅子のデザインなど
登録要件【物品性】物品に表現されたデザインであること(物品を離れたデザインそのものは対象外)、動産であることなど
【工業上利用可能】工業的(機械的、手工業的)な生産過程を経て反復して、量産される物品のデザインであること(一品ものは著作権として保護を受けるのに留まります)
【新規性】今までにない新しい意匠であること(ご自身の先行登録意匠も対象になります)
【創作性】今までのデザインをもとに容易に創作できたものでないことなど
保護期間登録日から20年
権利取得の手続き【意匠登録出願】物品の区分、用途や機能などを願書に記載し、6面図や断面図などの図面を作成して出願
【審査】先行登録意匠とは類似しないか(新規性)、単に組み合わせたものでないか(創作性)等の実体審査を経て登録(審査請求はしなくても出願後、適宜審査してもらえます)
料金の目安(出願時弊所料金 約12万円(図面6枚の場合)~
※図面の枚数、物品やデザインの複雑さ等により変動します。
※別途、法定費用がかかります。

出願手続き

特許法のような「出願審査請求制度」はありません。出願した内容は、特許庁での公開準備が済み次第、順次公開されます。「方式審査」と「実体審査」を経て、問題がなければそのまま登録査定となりますが、指摘事項がある場合は「拒絶理由通知」が送られてきます。その「拒絶理由通知」に対して、意見書・補正書を提出し、それが認められれば拒絶理由が解消したとして、登録査定となります。

登録査定となったあとは、所定の期間内に出願内容に応じた法定金額を納付することで、商標権を取得できます。

意匠登録の手続き(簡易版)

意匠登録の詳細版はこちらをご参照ください。

意匠を活用する6個のポイント

その1 特許や実用新案、著作権で守れない部分を保護

商品の売れ行きを左右するのは、画期的な技術的なアイデアだったり、使い勝手の良さ、機能性に優れたデザインなどであることが多いと思います。

構造面の技術的なアイデアは特許や実用新案で保護できますが、デザインによる機能性や商品性が市場から評価されているような場合は、意匠で保護する必要があります。

また、デザインは著作権で保護される場合もありますが、創作日の立証など難しい面があります。なにより、著作権は一品もののデザインを保護するもので、大量に生産される工業製品は保護の対象外となり、一部の例外を除いて、工業製品のデザインは意匠で保護するしかありません。ほかの権利の隙間をうめて保護したい場合に、意匠を活用をご検討ください。

その2 模倣品の排除+商品の差別化

デッドコピーなどの模倣を防止できます。
巧みなデザインによって、商品を差別化することも可能です。

その3 ブランド価値向上(取引先からの信用や評価UP)

意匠登録を受けていることで信用やブランド価値を向上させることができます。ひいては、社員のモチベーションや士気向上も期待できます。

その4 部分意匠の活用

意匠登録出願の方法としては、全体意匠のほかに、部分意匠という制度があります。物品全体のデザインに特徴がある時は全体意匠で出願すればよいですが、物品の一部のデザインに特徴がある場合は、部分意匠という制度を利用することで、その部分だけ模倣するだけで権利行使ができるようになります。

部分意匠の例 意匠登録1581030

【意匠の説明】
「持ち手が略八角形である」ことが部分意匠になっているフライパンの例。つまり、朱色部分は意匠ではない。

その5 関連意匠の活用

関連意匠の例 本意匠:1550868 関連意匠:151177

意匠権は、類似すると判断される範囲が狭く、1つのデザインの意匠登録だけでは模倣行為を防ぐことは難しい面があります。
そこで関連意匠という制度があり、縦横比を少しずつ変えたデザインなどを一括して登録することで保護範囲を広げることができます。右図は平成28年年4月に登録された本意匠(左)と関連意匠(右)であり、ともにフライパンのなべ底のデザインです。令和元年5月に改正され、令和2年に施行予定の改正意匠法では、関連意匠についても大きな変更があります。

その6 秘密意匠の活用

 意匠権は、類似すると判断される範囲が狭く、1つのデザインの意匠登録だけですと、登録内容を見た第三者が、少し変えたものを商品化してしまう可能性も否定できません。
 そこで、秘密意匠という制度があり、特許庁に登録日から最大3年まで、登録された意匠を秘密にしておくことができます。製品販売の戦略上、出願した製品の販売開始まで秘密にしておきたい場合、この秘密意匠制度を活用できます。