IoTを活用して事業を効率化・高収益化・人材不足を解消してみませんか 第2回

今回は、IoT関連技術の特許出願の状況ついて確認するとともに、今後の出願傾向を予測してみたいと思います。

IoT関連技術の特許分類情報(特許庁 平成29年5月発表)について

IoT関連技術については、技術分類(IPCサブクラス:G16Yおよびファセット:ZITほか)が付与され、ファセット分類記号ZITはさらに、ZJM・・・ZJRなどの分類に細分化されています。

https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/bunrui/fi/iot_bunrui_tikuseki.html

表1.用途別に細分化された広域ファセット分類記号
ZJM(サービス業用:駐車場管理など)
ZJT(運輸用:交通量制御など)
ZJP(ヘルスケア用:医療,診断用など)
ZJG(ホームアンドビルディング用:家電用など)
ZJX(アミューズメント用:スポーツ,ゲーム用)
ZJE(電気,ガス,水道供給用)
ZJV(情報通信業用)
ZJC(製造業用)
ZJK(金融用)
ZJR(ロジスティックス用:倉庫,配達など)
ZJA(農業,漁業,鉱業用)
ZJI(建設業用)

ファセット技術分類別のIoT特許の出願状況

 ファセット分類記号の細分類をもとに、技術分類ごとの出願公開件数をパテントマップにしてみますと下記のようになります(2020年6月時点)。


 図1.技術分類別 出願公開件数(全国)のパテントマップ(当事務所作成)

パテントマップによれば、ZJM(サービス業用:駐車場管理など)が最も多く、次いでZJT(運輸用:交通量制御など)、ZJP(ヘルスケア用:医療,診断用など)、ZJG(ホームアンドビルディング用:家電用など)、ZJX(アミューズメント用:スポーツ,ゲーム用)、ZJE(電気,ガス,水道供給用)と続いています。

この点、2017年7月末時点での、各細分化項目の付与件数の分布は、ZJX(アミューズメント用:スポーツ,ゲーム用)の比率が高かったのですが(図2ご参照)、変化傾向からZJM(サービス業用)やZJT(運輸用)でのIoTの活用が進んでいることになります。

図2.2017年7月末時点でのIoT細分化項目の付与件数の分布
 (特許庁「IoT 関連技術に関する特許分類の新設と 審査体制の整備」より)

最も出願件数が多いZJM(サービス業用)のIoT特許の出願状況

ZJM(サービス業用)でjplatpatを検索し、最近公開された順に列挙してみますと、下記の表2のようになります。 商品の情報提供、洗車場の情報提供、不動産物件の物件情報提供、飲料提供装置、店舗内照明管理装置、購入決済システムなど様々なサービスが含まれており、この分類の出願が増えているということは、こういった様々なサービス業がIoTを活用し始めていることを示していると考えられます。

表2.ZJM(サービス業用)のIoT特許(全国)の出願状況(当事務所作成)
文献番号出願日発明の名称
特許67258592019/3/26情報処理装置、およびログ管理プログラム
特開2020-1070762018/12/27サービス提供システム及びサービス提供方法
特開2020-1070742018/12/27サービス提供システム及びサービス提供方法
特開2020-0953752018/12/11洗車システム
特開2020-0869162018/11/26監視システム及び商品販売データ処理システム
特開2020-0866592018/11/19情報処理システム、プログラム、及び情報処理方法
特開2020-0800362018/11/13印刷装置、及び、情報処理システム
特開2020-0645482018/10/19情報処理プログラム、情報処理方法、及び情報処理装置
特許66789482019/3/5情報提供装置及び情報提供システム
特開2020-0530232019/7/30路上駐車管理システム及びその実施方法
特開2020-0529002018/9/28駐車料金算出システム、精算装置
特開2020-0472602019/7/24顧客顔認識システムを有するカジノ管理システム、およびそれを操作する方法
特開2020-0468542018/9/18物件情報提示装置、物件情報提示プログラム、物件情報提示方法、及び情報提供システム
特開2020-0468532018/9/18物件情報提示装置、物件情報提示プログラム、物件情報提示方法、及び情報提供システム
特開2020-0427472018/9/14駅務機器
特開2020-0427462018/9/13サーバ装置及びプログラム
特開2020-0425562018/9/11駅務システム、サーバ装置、駅務処理方法、およびプログラム
特開2020-0424902018/9/10情報管理装置および情報管理方法
特許66677032019/4/24飲料提供装置の管理システム
特開2020-0351502018/8/29発券端末管理装置、発券端末管理システム、発券端末管理プログラムおよび発券端末管理方法
特開2020-0306042018/8/22プラン提示プログラム、プラン提示方法、及び情報処理装置
特許6655272018/12/7駐車場管理システム
特開2020-0277182018/8/10照明システムおよび管理システム
特開2020-0214332018/8/3コイン投入作動装置のコイン管理集金システム
特開2020-0171742018/7/27衛生管理システム、中継装置、及び衛生管理方法
特開2020-0134512018/7/20情報処理方法
特開2020-0093182018/7/11ナンバープレートによる決済方法、システム、およびプログラム

IoT特許出願の今後の傾向予測について

他方で、上記のリストでは出願人の情報を割愛しましたが、現状はIT企業からの出願が多く、産業用途などモノづくりの現場ではまだまだこれからという状況が伺えます。
 そこで、今後、どの分野の特許出願が伸びていくかを推測するために、平成30年版情報通信白書の「IoTデバイスの急速な普及」の記載および図3や図4を確認してみますと、「自動車・輸送機器」や「医療」分野のほか、「産業用途(工場、インフラ、物流)」などの高成長が予測されており、これらの分野の出願が増えていくものと予想されます。

◆IoTデバイスの急速な普及

インターネット技術や各種センサー・テクノロジーの進化等を背景に、パソコンやスマートフォンなど従来のインターネット接続端末に加え、家電や自動車、ビルや工場など、世界中の様々なモノがインターネットへつながるIoT時代が到来している。
世界のIoTデバイス数の動向をみると、2017年時点で稼働数が多いのはスマートフォンや通信機器などの「通信」が挙げられる。ただ、それらは市場が成熟しているため、今後は、相対的に低成長が見込まれる。
今後は、コネクテッドカーの普及によりIoT化の進展が見込まれる「自動車・輸送機器」、デジタルヘルスケアの市場が拡大している「医療」、スマート工場やスマートシティが拡大する「産業用途(工場、インフラ、物流)」などの高成長が予測される(図表1-1-2-1、図表1-1-2-2)。

平成30年版情報通信白書(抜粋)

したがって、これからIoTを導入しようと考えている企業にとっては、ファセット分類で見ると、ZJP(ヘルスケア用:医療,診断用など)、ZJG(ホームアンドビルディング用:家電用など)、ZJC(製造業用)などが、特許の取得のしやすさという観点ではブルーオーシャンということになるのではないでしょうか。

図3.世界のIoTデバイス数の推移及び予測(平成30年版情報通信白書より)
図4.分野・産業別のIoTデバイス数及び成長予測(平成30年版情報通信白書より)

IoT特許の年度別の出願状況について

最後に、年度別に公開件数を見てみますと下記のようになります。
2014年ころから出願が増え始め、2018年には倍増していることがわかります。

図5.公開年度別 出願件数(全国)のパテントマップ(当事務所作成)

北海道内のIoT特許出願の状況について

ここで、北海道内の出願件数を確認してみますと、全国で約3,000件に対し、わずか6件と少なく、IoT活用の取り組みが遅れ気味であることがわかります。

表3.IoT特許(北海道)の出願状況(当事務所作成)
No.公開番号登録番号出願日発明の名称
特開2020-0214332018/8/3コイン投入作動装置のコイン管理集金システム
特開2019-0671212017/9/29データ流通システム
特開2018-1812762017/4/21健康管理支援装置、健康管理支援システム、および健康管理支援方法
特開2016-024767特許61646532014/7/24情報集配システム及び情報集配方法
特開2015-185051特許56904212014/3/26サンプル評価システム及びプログラム
特開2014-018490特許61168242012/7/19救護支援サーバ、救護支援システムおよび救護支援プログラム

以上、おおまかですが、IoT特許出願の状況を確認し、今後の出願傾向を予測してみましたが、特に北海道内のIoT活用およびその特許出願については様々な課題があると思われます。

 そこで、次回は、これからIoTを活用していこうと考えている皆様が、どのような観点で知財を意識すればよいのかをご説明したいと考えております。乞うご期待!