「特許調査を飛躍的に効率化するAI特許」のご紹介(発明者:弁理士 常本俊幸,出願手続き:当事務所)
このたび、当方(弁理士 常本俊幸)が発明者となった特許で、当事務所にて特許出願したAI特許が公開されましたのでご紹介いたします。
公開公報
- 【公開番号】特開2020-154684
- 【発明名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
- 【出願日】平成31年3月20日(2019.3.20)
- 【公開日】令和2年9月24日(2020.9.24)
- 【発明者】常本俊幸
- 【出願人】常本俊幸
- 【公報のリンク先】
発明の概要
本発明は、特許や論文などの文献調査をAIで効率化する技術で、調査時間を1/5~1/10に低減することを目標にしています。検索キーワードと文献との関連性を判定してスコアリングし、関連性の高い順にソートして提示することで、スコアが高い文献、例えば、全体の1~2割ほどを確認すれば済むようにする技術です。
仕組みとしては、ベテランの調査者(サーチャー)の判断結果を機械学習し、文献中における検索キーワードの分布や、ヒットした検索キーワードどうしの位置関係に基づいて、検索キーワードと文献との類似性を判定する点に特徴があります。
発明の詳細
本発明は、検索キーワードとして、第1段「センサ」×第2段「生産ライン」×第3段「正常」などのように、第1段~第n段に多段的に設定する場合において、文献中の第1段~第n段の検索キーワードの存在箇所を解析して、第1段~第n段の各段の検索キーワードごとに、検索キーワードが文献中にどのように分布しているのかを示すKW空間分布ベクトルを生成し、生成した第1段~第n段のKW空間分布ベクトルに基づいて、検索キーワードのセットと文献との関連性を判定するようにしています。
ポイントは、第1段~第n段の各段の検索キーワードごとに、それぞれKW空間分布ベクトルを生成することで、ヒットした各段の検索キーワード相互の位置関係や分布の特徴を把握し、文献との関連性を判定する点にあります。
ある意味、調査者(サーチャー)の脳内(右脳)で行われている「直感的な判断」を機械学習で実現する技術と言ってよいのかもしれません。
「直感的な判断」という点では、例えば、藤井聡太氏(王位・棋聖)が詰め将棋を解く際に「頭の中では、盤面を想定した一手一手の手順をトレースせず」に、「もっと抽象化された数値やイメージのようなものを想い描いて判断している」といわれています(杉本昌隆著「悔しがる力」ご参照)。
ベテランのサーチャーも、「左脳で、文献に記載された文字列をつぶさに読んで判断」するというよりも、むしろ、「右脳で、ヒットしたキーワード同士の位置関係や分布で関連性を直感的に判断している(ある種のイメージ処理に近い)」ということに着目し、これを機械学習で実現する仕組みを考えてみたというわけです。
もちろん、機械学習を利用するので、事前に、ベテランサーチャーの数万件の調査結果を学習させておき、学習済み機械学習モデルに刻み込んだ関連性判定のパラメータに基づいて、検索キーワードのセットと文献との関連性を判定するということになります。
クレームは、検索キーワードと文献との関連性を判定するシステムや判定プログラム・方法はもちろん、学習処理、学習データの構造(ベクトル構成)、学習済み機械学習モデル、学習済み機械学習モデルのパラメータに至るまで、AI特許で取得可能なクレームのカテゴリーを幅広く取得できるようチャレンジングなクレーム群で構成されています。