特許出願件数及び各種の指標から見た日本の国際競争力の現状と対策案 ~第1回~

※本連載はこちらの「はじめに」から開始です。

1.特許出願件数の推移からみた国際競争力

1-1.日本国内の特許出願件数の推移

 まず、日本国内の特許出願件数の推移をみてみますと、下記のように年々減少していることが分かります。

 2020年はコロナの影響もあって、落ち込みが大きいのは仕方がないとは思われますが、2005年頃は40万件を超えていたのに対し、少なくともコロナ前の2019年の時点で30万件にまで減少しているのを改めて確認すると、技術大国と呼ばれたのは過去の栄光としかいいようがないのかもしれません。

 確かに、優れた技術を保有しているかどうかは、特許の出願件数だけでは測れない面があるとは思いますが、現状はかなり厳しいと見ざるを得ない状況です。

図4 日本国内の特許出願件数の推移
 (特許庁年次報告書の各年分のデータに基づいて当事務所にて作成)

1-2.各国の国内特許出願件数の推移

 では、他の国の状況はどうなのでしょうか?
 ということで調べてみましたところ、他の国は年々増加している国が多く、少なくとも日本のように10年前と比べて3割も落ち込んでいる国はありませんでした。

国(地域)別の国内特許出願件数の推移
図5 国(地域)別の国内特許出願件数の推移 
WIPO World Intellectual Property Indicatorsより各年分のデータを取得して当事務所にて作成)

1-3.各国のPCT国際特許出願件数の推移

 そのような中で、少し明るい兆しがみられるのがPCT国際特許出願件数で、日本も年々増加傾向にあります。
 国際特許出願件数が伸びている理由としては、ひとつには、強い企業は技術開発に対する投資が可能で、海外との競争にも対抗するために、外国出願にも力を入れる余力があることが背景にあると推測されます。
 他方、中堅以下の企業は厳しい状況に置かれており、技術開発への投資意欲が低下し、ひいては国内特許出願の件数を押し下げる要因にもなっていると推測されます。

国別のPCT国際特許出願件数の推移
図6 国別のPCT国際特許出願件数の推移 
WIPO World Intellectual Property Indicatorsより各年分のデータを取得して当事務所にて作成)

  


 今回はここまでです。
 次回、第2回目は「2.各種の客観的指標の推移からみた国際競争力の現状」についてご説明いたします。
 乞うご期待。