「札幌黄」知財セミナー講師を務めました

はじめに

 2023年3月7日(水)に、札幌黄ブランド化推進協議会様からのご依頼で、INPIT北海道知財総合支援窓口様の専門家派遣の制度を利用した「札幌黄のブランド保護のための勉強会」の知財セミナー講師を務めさせていただきました。

このたび、札幌黄ブランド化推進協議会様のご厚意により、ご了承をいただきましたので、本セミナーの概要をご紹介いたします。

図1.セミナープレゼン資料の表紙
写真1.セミナー会場の様子(札幌市 農業支援センターの研修室にて)

「札幌黄」について

 札幌東区民ホームページ「東区特産のたまねぎ札幌黄」によれば、「札幌黄」は明治時代に品種として確立し、札幌村から全国に広まり、昭和時代に生産の最盛を迎えたものの、生産が難しい面もあり、現在の作付面積は札幌市のたまねぎ全体(約300ha)の約3%となっています(生産農家様は20数軒とのこと)

 しかし、近年の地産地消の機運の高まりや食の世界遺産「味の箱舟」に登録されたことがきっかけとなり、地域の伝統作物である「札幌黄」を応援していく機運が高まりつつあるとのことです。

 「札幌黄」は、歴史的価値のみならず、「糖度と辛みのバランスが良い」・「柔らかい」という料理食材としての価値も評価されており、生産量の少なさが希少価値を生み、その特徴的な味と入手のしにくさが相まって「幻のたまねぎ」と言われています。

セミナーの概要

 セミナーでは、知的財産制度の中で「札幌黄」の名称保護やブランド化に利用できる可能性のあるものをいくつかピックアップしてご説明するとともに、各制度の相違点、知的財産制度を利用しない場合のリスク、各制度における登録可能性、及び登録した後の効果について、ケーススタディを交えてご説明しました。

(主に、商標制度(通常の商標、地域団体商標)、地理的表示(GI)制度、品種登録(育成者権)、及び著作権についてご説明しました)

 ケーススタディでは、弊所の前回のブログ『「今金男しゃく®」と「あまおう®」に学ぶブランド化戦略』を設例としたほか、「札幌黄」の特性やこれまでの取り組み状況に沿った、より具体的な設例を用意しました(こちらは非公開です)。

図2.セミナーの目的
図3.セミナーの概要
図4.地域団体商標と地理的表示(GI)の比較

さいごに

 INPIT北海道知財総合支援窓口のご担当者様からの事前情報や、小冊子『札幌黄物語』札幌東区民ホームページ「東区特産のたまねぎ札幌黄」などを拝見し、札幌黄ブランド化推進協議会の皆様の「札幌黄」にかける熱意にこたえるために、プレゼン資料の作成に際しては熟慮と試行錯誤を重ね、十分な時間をかけて準備を行いました。

 セミナー終了後に参加者の皆様からいただいた拍手は、その苦労を忘れさせてくれるほど大きなものだったことが印象的でした。

 この勉強会が「札幌黄」の知財化への取り組みの端緒となり、ブランド化推進の一助になれば幸いです。

写真2.札幌黄物語
小冊子『札幌黄物語』の表紙より抜粋)

平成25年7月2日に設立され、JAさっぽろ様、事業者各位、消費者、有識者、札幌市様などを構成員とし、各諸団体等が連携し、札幌黄の歴史的価値や魅力を広く伝え、ブランドを確立することを目的とする団体です。

※「札幌黄」の詳しい紹介は小冊子『札幌黄物語』または「札幌黄ふぁんくらぶ」のホームページををご覧ください。

※本ブログのサムネイル画像は、「札幌黄ふぁんくらぶ」のホームページより引用させて頂きました。